「うりうりかなしいぐわぁ」
これで、表記が正確なのかよくわからない。意味もよくわからない。多分、国語の本に書いてあった物語の中で、誰かが発した言葉だったと思う。
この言葉のために、私の脳内の貴重なニューロンとシナプスが幾分消費されている。おそらく、他に何の学習にも使われない経路で。しかし、今こうして文章を書く際に想起されたのだから、結構しっかり根付いているのかもしれない。
かくも言葉は不思議で、いつの間にか脳内に居座っている。英単語だけは別で、まるで無想転生のように頭脳をすり抜けてしまうけれど。
そんなもんなので、絵本に出てくるありふれた言葉は、実のところ教えてもらってもいないし、教えてもいないものが時々ある。常時使う簡単な言葉として絵本に気軽に出てくるが、それ故にいつ大脳新皮質に書き込まれたのかさっぱりわからない。またそれ故に「〇〇って何?」と訊かれても、いや全然答えられない。他の表現がないです、それはそれです、としか。

「ほら」と「こら」はそれに似たようなもの。物を指して「ほら」と言う。やったらあかんと「こら」と言う。何でと言われてもなぁ。海外で言わないから、生物学的に決定しているのではないと思うけれど。
次女のrinrinは、いろんな言葉を覚えている途中だ。かついろんなことをしでかす。その度にこら!と怒るが当然理解してはいない。挙げ句にこら!を「ヘイ、Siri!」のヘイくらいと思っているらしい。笑顔でこら(^O^)と返してくる始末。段々、こっちがこらって一体なんだろう?と悩んでくる。ちっ。
それから、「ほら」。しかし、これはまだ発音できていない。何かを指差しては「オラッ」、絵本をもってきては「オラ、オラオラッ」と言って迫ってくるので、もうすぐスタンドでも出せるんじゃなかろうかとちょっと思えてくる。「オラッてなんやねん……」と力が抜けるが、さりとて「ほら」が何かと言われると返答に窮する。
なお、カルピスは全く言えず、「え、あるぺそす☆※×○△?」とか言うてはる。しかし、英単語に関しては実は彼女の方が発音がいいのかもしれないと思っている。無理に日本語的英語に直している自分がふと恥ずかしくなる。

そんなこんなで彼女は「どうぶつむらのとびだす!やさいばたけ(しかけ:さくらいひろし 絵:大和綾 作:いしいゆみこ 出版社:永岡書店)」をもってきて読めと言う。「オラ、オラオラッ」と。しかけ絵本の飛び出すのを結構楽しんでいる。無理にしかけを引っ張って壊さないところは姉のmonmonとは違うな。その姉は最近図書館から間違いさがしや迷路の絵本を借りてきて読んている。謎の探求にやや目覚めているらしい。人間は成長する。ほんにそう思う。

iron-jungle
アイロンジャングルの中をオラオラ進む