あおむし
記憶だけで描いたアゲハチョウの幼虫的あおむし。割とかぶいている。

正直、はらぺこあおむしが我が家庭をこれほど食い荒らすとは思ってもみなかった。
元々絵本を所有していたところに、しかけ絵本のはらぺこあおむしを出産祝いにいただいた。何か小ぶりなタイプの本ももっているような気がする。自分としては、はらぺこあおむしがよく売れている絵本ということはわかっているのだが、どうしてそこまで王道的なのか?という気持ちだった。色彩豊かな絵は素晴らしいのだが、何ともかわいいとは言いがたいあおむし。
逆に、リアルなあおむしは割と好きだ。アゲハチョウの幼虫のフォルムなんて見事に尽きる。昔、マンションのベランダで山椒の木を育てていたが、一匹のアゲハチョウの幼虫に、葉っぱを全て食べられた。その食いっぷりに嬉しくなったものだ。ただ、大人になって思い返すと、丸裸にされた山椒の身を案じて感傷的になってしまうが。勝手なものだ。

しかし、はらぺこあおむし歌のCDを購入し、我が子monmonが保育園で覚えてきた歌とポーズを見せられているうちにすっかりと耳に馴染んでしまった。そうすると、はらぺこあおむしに何となく親近感を覚えるから不思議だ。
やはり歌の力は偉大だ。絵本の中の文章が次々と思い出され、いろんな絵もすっと浮かんでくる。他の国では知らないが、こと日本でははらぺこあおむしは歌と一緒にスターダム絵本の道を歩んできたのだと思う。

が、愚痴や恨み節がないわけではない。ナシは洋ナシだし、すももは妙な色しているし、サラミやピクルスは馴染み薄くて子供に伝えきれない……。おまけにアイスやチョコレートケーキやペロペロキャンディーである。そこを何とか、肉じゃがと野菜炒めとか、おからの炊いたんとかほうれん草のおひたしとか、うなぎとか梅干とかにしておいてくれれば、我が子も果物とお菓子ばっかりじゃなくて、ご飯ももっと食べてくれるかもしれないのに。

とはいえ、はらぺこあおむしの絵本と共に、我が子の成長も垣間見える。太っちょあおむしのサナギの絵は、彼女の中では「パン」→「うんち」→「サナギ」と順調に認識の進化を遂げている。サナギが実際にどんなものなのか、理解できているような気はあまりしないが。
それにしても、父親としては彼女のサナギ(思春期)の頃のほうをむしろ心配している。父にはつれないだろうから……。