脱獄穴製作風景

我が家のハムスター(名を『大福』というが、いつも思い出せない)は、プラスチックのケージの同じところを飽きることなく齧っている。習性かもしれないが、脱出したい気持ちも一杯らしい。近頃、私は此奴を心の中で『ショーシャンク』と呼んでいる。いつの日かケージを破り、空に向かって両手を広げて立ち尽くすハムスターの姿を夢見るが、無論、ケージを破壊されるのは困る。

久しぶりにキッザニアに家族で行った。相変わらずの混雑ぶりでコロナ狂乱の最中だったらいささか怯むような風景だ。残念ながら脱獄囚は選択肢に存在しなかったが、そもそも職業でもない。刑務官ならあってもいいと思うが、なかなか協賛は無さそうだ。
長女monmonも次女rinrinも今回は何とか目一杯楽しめたようだ。パン職人、パフォーマー、弁護士、声優……我が子らがやっているのを端から見ていると職業体験というより、輪廻転生している様を見せられているようだ。大人は参加できず助言くらいでしか関与できないわけで、ともすれば大人たちは八百万の神様業を体験している気もしてくる。大分、お疲れの色の濃い神様が多い様子だけれども。
私としては、裁判を観てて、もう少し白熱した議論が欲しかったなぁ、と。「異議あり」とか「却下します」とか。参加できない傍聴席でウズウズしていた(それ以前に大人だから参加できないのだが)。まあ、本当の裁判を見たことがないんで、何が本物か何とも言えないのだが。

で、絵本。絵本自体の出番が日に日に少なくなってきているように思えるが、久方ぶりに『ころりん・ぱ!(作:ひらぎみつえ、出版社:ほるぷ出版)』を次女rinrinが引っ張り出してきて、読み聞かせされていた。もっと小さい子向けではあるものの、やはり仕掛け絵本は面白い。目の端でチラチラと見ていたのだが、ページの中で動く玉なようなものは決してそこから抜け出せない。袋小路か、あるいは牢屋か。また、ウチのショーシャンク・デ・ハムスターのことを思い出してしまった。脱獄を願うべきか願わざるべきか、それが問題だ。