時折、イタチを見る。すごく目立たず、巧みに生きている。個人的には、犬猫狐狸という昔からの四大お馴染み動物の頂点に密かに君臨する生物だと思っているが、『君臨すれども統治せず』を地で行く彼らは滅多に姿を見せない。なのに、こんな風にチラっと見せられる。王は臣民に対して常にチラ見を興じるのかもしれぬ。その個性的なフォルム、動きが私を魅了する。
しかして、彼らが走り去る街に佇むのは実に没個性的なコンビニだ。どこへ行っても同じなのが利点でもあるが、その画一性に辟易もする。子供にとっては大切なお菓子屋さんではあるが、その店そのものを愛することはなかなかなさそうだ。店員と親しくはあったとしても。
お菓子屋さんという形で見たならば、コンビニはその昔駄菓子屋さんであった。テレビの影響で、長女monmonは駄菓子屋さんへの憧れをもっているが、銭湯よりも絶滅危惧種となった今一つ、彼女が楽しめる駄菓子屋さんに連れていけないのが寂しい。もっとも、駄菓子屋さんは大人なんぞ関係なく、町中で子供同士で勝手に見つけてきて、勝手にたむろす場所ではあるが。

かつての駄菓子屋さんには固有の名前があった。時にはあだ名で呼ばれ正式名称を知らない店もあった。それぞれのお気に入りのお菓子はあろうけれど、私の場合はイカゲソだった。串に刺さり、プラスチックの大きな容器に入った、甘い味付けされたアレだ(こんな説明で共感されるかわからないが)。箱のボタンを押すと色付きのガム玉が出てくるのも好きだったが……。色で当たりになったりするやつ。他にも当たり付きのお菓子がたくさんあった。今と違って大概その場で食べるから、当たり付きビジネスに向いていたのだ。下手に後で当たりをもってきたら、本当にそこの店で買ったのか妙な疑いかかることもしばしばだし。

が、実際当たりを引いたことはほとんどない。アイスキャンデーの棒に書かれた当たりは何度かあるが、ガム玉とか全然……。やや店の介入を疑わざるを得ない。知らんけど。次女rinrinは我が血を濃く継いだのか、くじ引きにとんと弱い。ビギナーズラックをまるで無視する運の無さだ。一方でmonmonはよく当たる。小当たりではあるが、何かもっている気もする。とはいえ、『運の総量は同じ説』の信望者の私としては、あまり小当たりで運を使ってくれるな、とも思う。もっとも、100万円当たった時とアイスキャンデーもう1本当たった時の喜びようがもし同じだとしたら、運の量の減り具合は同じなんじゃないだろうか? そこんとこはちょっと神様に訊いてみたい。

運弱めのrinrinだが、『デコ★パンケーキ(作:Junko、出版社:ほるぷ出版)』の絵本を読んですこぶる楽しそうだからそれでいい。読み聞かせる方は実に疲れるが……。ストーリーがねえよ。しかし、パンケーキ(ホットケーキ)の絵本は恐ろしく多い。没個性的の極みのようなプレーンなパンケーキ。まあ、いろいろデコるといろいろ美味い。父の新たな趣味にしてもいいかもしれない。正直、レシピを読み聞かせるより楽しいぞ。

イカゲソ想像断面図