『じごくのそうべえ』

作・絵: 田島 征彦
出版社: 童心社

おすすめ絵本番外編はsonsonが披露します。
この絵本は、人間国宝桂米朝氏の落語「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」をベースにしたお話です。
落語と聞くと難しいと思ってしまう人もいるかもしれませんが、そこは上方落語である上に題材が地獄。荒唐無稽なファンタジーになってます。実際のところ、軽業師(かるわざし)だとか三途河の婆(しょうずかのばば)とか、現代の大人ですら馴染みのない言葉も出てきますが、まあ、あんまり気にしなくていいです。まず絵が魅力的ですから。
と言っても出てくるのは地獄絵図だし、鬼たちは怖い顔してるし……ですが、なんか鬼がコミカル。もっとも昔話に出てくる鬼は、半分以上コミカルな気もしますが。
地獄って暗いイメージがあるけれど、この方が描くとカラフル。不謹慎ながら、楽しそうです。

個人的な話ですが、私はジョルジュ・ルオーの絵が好きなんです。彼の描く太い輪郭線が圧倒的なエネルギーを絵の中から放ってきます。
この方の描く絵もまた輪郭が太い。それが絵に躍動感を与えているようで、心地よいし、なんか安心できます。

この絵本を見て地獄を怖がってくれるのか???はたまた面白がってくれるのか???わかりません。
あまり面白がってくれるのも、閻魔大王形無しですけどね。
たまには親子でじっくり地獄絵巻を楽しんでみるのはいかがでしょうか?
この他にも落語を基にした絵本はいろいろと出ているようです(先日、たのきゅう(田能久)も図書館で借りてみました。これもなかなか面白くて)。
これを機に落語絵本をいろいろ探してみるのも一興かな、と。

じごくのそうべえ (童心社の絵本)