気づけば2次元バーコードで世界は回されている。
お金を払う、イベントに参加する、球場に入る、何かに応募する……。そして、飛行機に乗るのも。いや、結構前からそうなっていたけれども、ピーチのチェックインをした時に出てくる、昔のコンピュータが吐き出すパンチ穴の開いたロール紙を彷彿とさせる、薄っぺらい航空チケットと2次元バーコードを見た時、切実に感じた。そら、国鉄の硬い切符が今やチケットレスなんだからそうなるとはいえ、こう、搭乗する際の厳かな雰囲気はもうそこには全くもってない。これは見事に事務処理である。
これほど世界を牛耳りながら、しかし2次元バーコードは基本紙へ印刷かデジタルな画面だ。数万年残りはしない。いつの日か、誰でもいいのだけれど、2次元バーコードを岩石にでも刻んで欲しいと思う。遥かな未来へ残して欲しいと思う。きっと謎に満ちたオーパーツに成る。驚異的な解読技術で万が一コードが読めたとしても、書いてあるのはプレゼント応募サイトのURL(アドレス)だったりして、未来の人には何のことやらさっぱりわからん。想像するととても楽しい。

そんな2次元バーコードの搭乗チケットを握りしめ、我らはちょっと前に石垣島へ旅立った。理由は……寒くないからだ。海開きをしたからだ。海が我らを呼んでいたからだ。多分。セイレーンのような声を微かに聴いたような。嘘だ。
いきなりの大雨、熱帯の匂い、風変わりな名前の宿猫、風変わりな宿オーナー、大量のヤドカリ、巨大なサンゴ、でかいトカゲ、ドナドナ的な目をしたヤギ、エメラルドがとてもグリーンな海、季節外れのマンゴー。あ、それにオホホとミルク殿。ゴタゴタでグダグダだが、そんなこんなだった。ちょっと詰め込み過ぎたとまた反省している。長女monmonは島ダコの味に歓喜し(たこ焼きのタコなしでと昔言っていた人がだ)、次女rinrinは竹富島で史上初めて泣けるほど自転車を漕ぎまくる。
次行く時はもっとアクティビティをするだろう。マングローブツアーになるのか、ダイビングになるのか、離島巡りになるのか……。何故か宿の住み込みバイトを約束してたので、娘たちにはいつかそういう日が来るかもしれない。

絵本のこと。ちゅうてもここのところ読んでない。例によって図書館で見つけたのは『かいものさんぽゴムぞうり(作:荒井良二、絵:古賀鈴鳴、出版社:岩崎書店)』。どう表現しよう、ワチャワチャの残る読後感。絵にしてもストーリーにしても。分かりやすく言えばスパムおにぎりを噛み締めた時の気分というか。分かりにくいな。
とか言っているうちに、諸事情でついに家の絵本の多くが一掃されることに。あの『どうぶつどどいつドーナッツ』はブックオフ行きの運命に……ああ。まあ、都々逸としてはあれであれだったからいいんだけど。いい人に買われるんだぜ。

うーみー