stand-up
まだ片手は離せぬ
ここ数年、ガンダムの名言をネットのパブリックな記事でよく見かける。使い方が唐突過ぎて、わかる人以外には文章の脈絡が掴めないほどだ。表現や意味の繋がりが妙だなと思ったら、ああこれはガンダム名言だからかと逆に類推してしまう始末だ。
多分、私がたくさん読むIT記事において、それを書く人たちの主力の年齢層がそういう世代であること、またその業界の人たちがガンダムを好む傾向性が強いせいだろう。しかし、少し離れた業界では恐らく全くもってガンダム名言が幅を効かせていることもなく、そもそもその名言は通じもしないだろう。
そう考えてみれば、自分の住んでいる世界は千枚漬けみたいなものだな、と感じて止まない。その薄い薄い千枚漬けが幾重にも重なって、大きな株みたいな世界ができている。1枚のそのあまりの薄っぺらさに寂しくもなるが、その厚みに凝縮された日本社会全体を貫く同世代的共通認識というものにやや嬉しくもなる。いずれにせよ、あまりに酸っぱい。

で、何でそのようなことを思索しているのかというと、もうすぐ次女のrinrinが立とうとしているからだ。別に意識するわけじゃないのだが、つい「立て、立つんだジョー!」と脳内で叫ぶメンバーがいる。今さら丹下段平て……と己でも思う。古臭い台詞過ぎて、粉を吹きそうだ。しかし無意識と刷り込みは実に恐ろしく、ふとするとまた脳内のどこかでリフレインが聞こえるのだ。立て、立て、立てぇ、と。

肝心のrinrinはお構いなしに立つ気まんまんだが、まだ完全体になりきらない。元々ふとももがリック・ドムのように太く(またガンダムだ)、なおかつ足裏は小さいのでとかく安定性が悪い。そのため立ち上がるのに時間がかかっているようだ。

そんなふうに直立への道については順調の極みだが、絵本に対しては厄介な時期。ページをめくることはできるが、読めはしない。でも絵を触りたい。握り締める。てな感じで幾つもの絵本がクシャクシャになっていく。いささか、辛い。

いつ、歩くかなあ……。