ある日のこと、串カツ屋さんで出てきた紅しょうがが親指サイズだった。と突然吐露しても理解してくれる人がどれだけいるのか分からないが、現代日本において紅しょうがの串カツの標準身長は、それなりの葉っぱくらいはあるだろう。だが、目の前に現れたのは確かに親指級。そこに感じたのはもう、怒りというより、絵本からぬけ出たようなプリティーさだった。
そう、絵本で言うなら……
紅しょ姫がいつかあの大きな葉っぱのような立派な紅しょうがの串カツになるべく、串を背中に刺したまま店を飛び出したのはある晴れた土曜日。願いを叶えてくれるという幻のビリケン様を探して街を彷徨うが、どこもかしこも偽物のビリケン様だらけ。
「どこ、本物のビリケン様はどこなの?」
挫けそうになる紅しょ姫に追い打ちをかけるように、通天閣の下を吹き抜けてきた秋風が彼女の頬を叩く。その時、
「待たれい!」
と鋭い声が背中からかかる。振り返ると、串カツの異端児、ひょろ長いアスパラ軍団が靴音高く迫ってきていた……。
いや、妄想が過ぎた。とにかくがんばれ、紅しょうが。

そういう予想外のことが人生には起こるのだが、長女monmonはこの間予想外の質問をぶつけてきた。
「バドミントンは好き?」
ありふれた質問だが、好きとか嫌いを考えてみたことがなかったことなので戸惑う。なので、窮して予想外の返答で返した。
「ブタミントンの方が好き」
「は?」
まあ、そうなるわな。そんなわけでブタミントンは何たるかを滔々と説明したのだが、幾ら聞いてもやってみないと面白いかは分からない。そして、私もパートナーtantanもそもそもやったことがあるのかすら覚えていない。昭和の遺物、ブタミントン。結構中古で高値で出回っている。ちなみにバドミントンという言葉自体が変わっているので、きっとその語源は面白かろうと調べたら、定説は『イギリス南西部にあるバドミントン村にあったボーフォート公爵の邸宅バドミントン・ハウスで、この競技が行われていたから』らしい。ふうん。トムヤンクンとかチャンリンシャンとか、そういう方向性を期待してたのに……。

そして、次女rinrinが図書館から借りてきたのは『おもしりとり(企画・原案:倉本 美津留、絵:田中 六大、監修:「シャキーン! 」制作スタッフ、出版社: ポプラ社)』。子供のアイデアから作ったものとのこと。rinrinは喜んでいたが、私は予想外におもし……れなかった。無念。

紅しょ姫の冒険 アスパラの刺客の段