昔から非常口のランプを見るとちょっと嬉しくなってしまう。いや、非常時に避難する方向が分かるから安心、というわけではなく、何か別世界への入口に誘われているような気がするから。テーマパークで見ると逆にちょっと気分壊すんだけどね。
非常口ランプに魅入られ始めた頃、オートリバースはまだなかった。カセットテープをひっくり返さなくていいオートリバースが出た時、世界は度肝を抜かれたものだが(私だけか?)、それも遥か昔か。

「すたんぶびょうでござい」昔こんな言葉を作った人もいた。箪笥と屏風を逆さに言うとそうなるんだが(大体、落語の噺がわからないとなんのことやらなんだが)、逆さになると高尚な言葉に聞こえなくもない。ちゅうか日本語かどうかさえ途端に分からなくなる。
次女のrinrinの言葉は最近いろんな言葉を使いこなすのだが、新しい言葉がよく反対になって出てくる。チーズケーキを作るから買い物に行くという話をしていたら「りょうざい買いに行かへんの?」と。りょうざい……りょうざい……材料か。ともすればとんちなんじゃないかと勘ぐってしまう。人の脳は不思議なもんだ。オートリバースでも付いてるのか、シナプスが逆流でもしてるのか。

そのrinrinは何故だろう、神社仏閣巡りをかなり好んでいる。まだ4歳なのに。神社仏閣の近くにはよく小さな公園があるせいかもしれないが、それにしてもだ。まあ、なんやかんやあって昔から様々な寺や神社に連れ回しているというのもあるし、やたら周りに多いんよね、由緒あるとこが。
しかし、まだ寺ガールや神ガールになるには少々早すぎるし、十二神将の腰のくびれがたまらないとか、仁王像の筋肉感に萌えたり、拝殿の屋根の造りを眺めながら神代に思いを馳せたりするのはもう少し後でいいような気がする。
そう言いながら、次はどんな神社仏閣に連れて行こうかと画策していたりもする。
そんなことを考えていると近頃祝詞(のりと)ちっくなことをのたまうようになってきた。もしかしたら何かの化身なのかもしれない。将来、教祖か何かに祀り上げられていたらどうしよう。

長女monmonの方はと言えば、隠れ指吸い。満9歳。遺伝というか、むしろDNA強化されてやしないか。そんな彼女ではあるが、割と最近は百点の答案用紙を見せてくる。もっとも、父親たる私の反応が鈍い。鈍すぎてやしないかといささか心配だ。ちょっと他人より百点への感動が少ない方なのだ。93点とかの方がいいんだなぁ。こことここでミスっちまったという悔しさ、あれがいいし、とても勉強になる。百点は妙味が少ない。

絵本は……王道はしばらく読まれず、『ちびまる子ちゃんのはじめてのクッキングえほん』をrinrinが推してくるばかり。そもそも読み聞かせするもんなのか、これ? ふと横の山積みを見たら『しろくまちゃんのほっとけーき』『どんなおべんとう?』『ばんごはんのごちそうは…』『わかったさんのひんやりスイーツ』『夢色パティシエール スペシャルレシピブック 親子で作るはじめてのスイーツ』だ。ああ、飽食時代。不意打ちで『だれがだれやらわかりません』が置いてある。まあ、嫌いじゃないけどね……。

イルミネーション、飛ぶUFO、そして輝く非常口