我が家の子供があんこを好まない。随分と甘いのに嫌らしい。やはり小さい時からがっつりとした甘さの西洋菓子に慣れ親しんでしまうと、どうもあんこの良さが伝わらないようだ。ヒーローが顔面から引っぺがし、もらった人はいつもとんでもなく喜ぶというアンパン、そのヒーローをこよなく愛するというのに、現実世界のアンパンには見向きもしない。大好きなネコ型ロボットの愛するあんこのお菓子も、現実では相手にされない。もっとも、私も実のところアンパンよりもいささかカレーパン派ではあったが。

先日、中身がスカスカな安いアンパンを想起させる、小さなかまくらを皆で作った。そこは人工雪でできた小さな子用の雪遊び場だったのだが、まあ猫も杓子もそこら中でかまくらを作っていた。うちの長女monmonもかまくらをやたら作りたがるのでさては空前のかまくらブームでも来ているのかと思っていたが、そうでもなかった。その雪遊び場では雪投げが禁止されている上に、さらに暖冬で雪もやや溶け気味で雪だるまがうまく作れない。そうなるとかまくらくらいしか作るもんがないわけで。うちの子はというと単に雪で囲まれているのに中は暖かいというかまくらの神秘に何故か憑りつかれているだけだ。 家族の力を結集して、やっとこさ一人分のかまくらは完成した。壁はかなり薄くなってしまったが、陽光も取り入れられる現代性のあるかまくらでそれはそれでいい。きっとそうだ。 とまあ、雪が滅多に降らない地方では、雪遊びをするのも大変だが、ある意味気楽だ。

雪遊びをしてから泊まったホテル。トリプルベッドの洋室だが、例によって冷蔵庫はある。いろいろ物を知り始めた2歳の長女rinrinはその冷蔵庫に気付いたらしい。ワクワクで開けたものの、一言、
「たまご入ってないよ?」
そりゃ、入っとりゃせんわ。ひょっともし入ってたらそれこそびっくりだ。冷蔵庫の存在意義がたまごの有無とは知らなかったが、なるほど、何も入ってない冷蔵庫も不思議と言えば不思議だ。

内でも外でも昔ながらの遊びに興じて欲しいところだが、テレビアニメとYoutubeがなかなかそうはさせてくれない。しかし絵本は家の中の至るところに落ちている。『もこ もこもこ(作: 谷川 俊太郎、絵: 元永 定正、出版社: 文研出版)』は長女が割と好きだったが、早すぎたせいか心の底からビビッと来てはいないような感がわずかにしていた。そんな折ついにこの本に惹かれたのか、長女と次女rinrinが絵本をもってきた。オノマトペというか、効果音というか、そういうのが好きな次女である、やはり『もこ もこもこ』はとても反応が良い。私としてはとても満足である。
それにしても『もこ もこもこ』を見ていると食べ物しか思い出さない。団子とかイカとかクラゲとか。特にもちを思い出す。ああ、もち。邪道だが、私はあんころもちが好きだ。普通のもちとは別枠で好きだ。もちさえもあまり好まない(まあ、小さいのであんまり好まれても困るが)我が子らにとっては、あんころもちなど宇宙食よりも奇妙かもしれない。
あんころもちの幸せにいつ彼女らが気付くのか、個人的な楽しみの一つだ。

子供しか入れなかった……