小学一年生を半年ほどこなした長女monmonとしりとりをしていた。『い』だと言うので彼女が知っているかは微妙だったが、私は「イタチ」と答えてみた。
「知ってるかな?」と私が恐る恐る訊いたら、
「にじゅっさいのこと?」と。
そりゃ、ハタチだ。むしろそっちを知っている方が不思議だわ。

そんなわけで、長女は太陽系に凝っている。こちらに太陽があって、ここに月で、これが地球だからこっちにいる月は見えないけど、あちらの星は見える、というような。ボールとかライトとかを使って自転やら公転やらをやっている。コペルニクスが生きていたら、むせび泣きながら喜んだであろう光景だ。とはいえ、机上でイメージが湧いても、ほらこの下にある地球がそういうふうに動いているのは、なかなか実感できない。もっとも、もしもできたら秒速数十メートルでぐるぐる回されているのを実感するわけだから、とても正気ではいられないだろう。

大きさについてもそうだ。ある時、monmonが「地球ってどれくらい大きい?」と訊いてきたが、これが答えられない。歩いたら一周1000日かかると言ったってよくわからんし、地球をりんごに例えると人間の大きさは……と言ったところで今度は小さすぎてわからない。結局倍数が3桁にもなると正直わからんのだ。思えば、コンパクトフラッシュ(CF)に書いてあったりした300倍速とかも、実際速さは全然ピンとこない(普通の人にはこの例え自体がぴんとこないかもしれないが)。せいぜい人間のわかる倍速なんて、ビデオ録画の3倍速か、赤い人が乗っている機械が3倍速くらいなものだ。

まあ、天体に興味を示す長女なのだが、それならば満天の星空を見せてやりたい。無数の星があり、さらにその間にも無数の星が見えてくるような、そんな無限の空。そういうフラクタルな現象を見る時、人は少しだけ途方もない大きさというものを実感できるのかもしれない。

そんな折、次女rinrinは私の周りを回りながら、チューリップの花の絵本(『チューリップ』:フレーベル館 ころころえほん 2014年4月号)を抱えて歌い続ける。『ばけばけばけばけ ばけたくん』(大日本図書、おまつりの巻)も好きなようだが、歌の絵本は殊の外良いらしい。くれよんの歌の絵本(『どんな いろが すき』:フレーベル館)もお気に入りだ。もっとも彼女が歌っているのは、酔いどれペンギンの鼻歌並みにええ加減な歌詞だが……。

回ると言えば自転車なわけで、折角の良い天気だというわけで関西サイクルスポーツセンターに行ってきた。一般の練習コースはあるは、競輪選手のような人が練習しているみたいだわ、リュージュや変わり種自転車はあるわで盛り沢山ではあるのだが、いささか現代感が感じられない。ピリリと辛い最先端の面白みがないのがちょっと残念だ。物凄い山道を行くモトクロスとかVR自転車とか、通い詰めてオリジナル自転車を完成させていくマイセルフ自転車工房とか……。
とは言いながら、遊園地ライクな乗り物や立体迷路や変わり種自転車で家族で随分楽しめた。monmonは4人が漕げる自転車に乗りたいと望む。いやしかし、2歳と7歳と中年二人全てに合うサドルとペダルなんぞない。逆にそれが調整できるのなら、それは結構すごいテクノロジーの詰まった自転車だ。果たして、4人で一緒の自転車に乗れるのはいつの日なんだろう。それについては、その頃の自分の体力と彼女らの思春期がとても心配でならない。

飾り物なので、これは動きません。だが乗りたい