何はなくとも初夏である。紫外線は溢れていようとも、外に出て走り回りたくなる季節である。しかし、また体力をつけないまま初夏になり、気持ちとは裏腹に体が動かず、我が子についていけない。
そして、気がついたら梅雨が来た。

そんな中、クローバーと雑草が庭に迷いもなく繁茂するのを見るにつけ、命の躍動と草刈りへの諦念を感じずにはいられない。と共に、ここんとこいろんな生命の交錯があったなぁ、と感慨に耽ってみたい。

まず、二人目の子、rinrinが4月に現れてすくすくと、そらあもう見事なまでにすくすくと育っている。元気なのはいいが、少々肥えすぎている。
そうしていると、巨躯になっていた古い仲間のコメット(金魚)が逝ってしまった。理由はわからないが水槽が手狭になっていた上に水換えが疎かになっていたところがある。直前まで割と元気にはしていたのだけれど……。

一方、つばめは一度は巣の拡張工事に来たけれど、まだ子作りできる間取りではなかったのか、今年も空き家で終わりそう。

それはさておき、コメットが去った寂しさの勢いで、かねてより検討していたヤマトヌマエビを購入した。水槽の茶ゴケの対策と別にあるビオトープの生態系維持に。何とかそれなりにどちらも半数は元気に生存できているようだ。
しかし、ヤマトヌマエビの進出が気に入らなかったのか、食糧を奪われたのか、古参のシマドジョウがあっけなく。そこで、やけのやんぱちで二代目ドジョウとしてフクシマドショウが新規参入、頑張ってくれと願ったのだが……。わずか二日で自ら水槽を抜け出してミイラ化。そんなにこの水槽、居心地悪いか?

それから、今はなきフクシマドショウと共にたまたまやってきたのが、赤ら頭の小さな丹頂。ドショウを買いに行った時にアクアリウムショップの店先に高価な金魚すくいがあって、誰も手を出さない。しかし唯一我が長女monmonがどうしてもしたい、とせがみ。案の定、一撃でホイを破ってしまったが、一匹はもらえるのでもらってきた。金魚すくいとはいえ、アクアリウムショップなので疲労もなさそうで元気いっぱいだ。大きな先輩に負けじと泳ぎまくっている。

だが、水槽の栄枯盛衰はまだ終わらない。幾らも経たないうちに黒出目金が尾ぐされ病で元気を失い、応援の甲斐もなく逝きはった。既に二代目。本当に黒出目金は繊細だな、と思う。三代目、といくのは少々節操がなく、丹頂も入ってきているのでしばらくは現状の構成で住んでいただくことにする。

寂しさを少し感じつつ過ごしていた平日の夜、家路に急ぐ足元にいたのは、一匹の雄のクワガタムシ。ヒラタクワガタだ。そのようなものがさらりと飛んでくるような場所なのだ。と言っても、近所では初めてみたが。自宅の庭でそっと解放しようとしたのだが、家族が殊の外喜びの様子だったので、そのまま飼うことに。しかし、急遽で虫かごがないため、入浴剤が入れてあった箱を代用したら2日連続で家の中で脱走された。箱に穴をぱっくりと開けられて。偶然いずれも翌日か翌々日には発見されたのだが(夜になると勝手に騒ぎ出すので)、家族によっては大ヒンシュクになりかねないところだった。

そんなわけで今、玄関でクワガタムシが住み、水槽の中で新しい生態系が発展しているのだ。勿論、リビングには『しぜんキンダーブック くわがたむし』が置いてある。これを機に家族で再勉強だが、内容が真面目過ぎて、個人的には少々飽きる。図鑑好き、虫好きの子にはピッタリなのだが……。

ひと夏はこんな感じで過ぎそうである。その先はまたわからないが。

tantyou
新参者の丹頂(右)
kuwagata
夜になると激しく動くヒラタクワガタ