おどろきしぱたと盆踊り
先日、保育園の夏祭りで、園児が数人集まって『おどろきしぱた』をしているのを見た。
が、その前に『おどろきしぱた』という言葉が、ニホンカワウソの如くに日本国から消滅していると誰にも何も伝わらないので、ちょっとインターネット検索してみた。すると、無茶苦茶たくさん出てきた。日本人の意識から『おどろきしぱた』が失われていなかったのは嬉しいが、そこまで『おどろきしぱた』に気を配っている社会もどうなんだろうと無用な心配をせずにはいられなかった。
とにかく『おどろきしぱた』である。蛙のようなポーズで両手両足を地面につけた状態からお尻を跳ね上げて足を浮かせる。そんなアクションだ。新沢基栄氏のマンガ「ハイスクール!奇面組」の中に表現されている。遥か遥か昔のマンガだ。その『おどろきしぱた』が幾星霜の時を経て、現代の保育園児の日常生活に現出した姿を見て、無駄にそして独りで感動した。
してみると、『おどろきしぱた』の動きは、20種類のアミノ酸の組み合わせによって構成される途方もない数のタンパク質が織り成す、ホモ・サピエンスの精緻なる生態の中に、生物学的にはっきりと刻まれているのだろうか。あるいは、古代に降り立った超文明の異星人が地球人類に与えた叡智の一つとして、我らの文化の中に潜在的に継承されている動きなのだろうか。謎は深い。案外、『シェー』や『ガチョーン』よりも後世に残っていくものなのかもしれない。
そんなことを踏まえて、盆踊りである。我が家のmonmonは盆踊りが好きだ。好きなお祭りに被せるように好きなダンスの催しである。浴衣も着られる。嫌いであろうはずがない。
が、今年も盆踊りの動きにはなかなかついていけずに戸惑っていた。それどころか、昔はそれなりに踊れたはずの私もどうもついていけない。思うに、盆踊りの動きはナチュラルではないのだ。西洋の踊りのように激情の発露としての動きというより、儀式ばったやや無理矢理な動きがあるような気がする。しかし不自然で複雑な動きであるが故に、多数の人間が同調し、音楽と調和する様がとても美しくもなり面白くもなる。なかなか子どもには難しい(運動不足の中年にも)。
盆踊りの動きもまた年々忘れ去られていっているものだ。その他の様々の滅びゆかんとする踊りや動きと合わせて、もっともっと保存と復興を図らねばならないなと感じる今日この頃。
ついでに盆踊りが題材になっている絵本はさすがにないだろうと思って調べてみたら、『おぼん ぼんぼん ぼんおどりの日!』というのが出てきた。絵柄も楽しそうだ。見かけたら買ってしまうかもしれない。絵本の世界は海よりも深い。
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