『そうべえ ふしぎなりゅうぐうじょう』

作・絵: 田島 征彦
出版社: 童心社

おすすめ絵本番外編です。
『じごくのそうべえ』の姉妹版というかシリーズものというか。
今回は、上方落語の「兵庫船」と「小倉船」がベースになっています。
かるわざしのそうべえ、はぬきしのしかい、いしゃのちくあん、やまぶしのふっかいが竜宮城でドタバタする物語……ですが、あまり職業ならではの能力は発揮していません。単なるお騒がせ四人衆、程度の感じです。
で、何故お勧めかというと、私が「兵庫船」と「小倉船」が個人的に好きだからです。海の上を走る船旅はワクワクします。その上、見知らぬ人とのお喋り、遊び、そこから出てくる荒唐無稽な展開。ワクワクしませんか? ファンタジー性のある落語が好きでない人もいるでしょうが、それにしても大の大人が集まって、そんな無茶話を聞いているのですから、落語てなぁ不思議な芸です。
まあ、こちらの絵本ではそういう船上の展開は小さくまとめられていて、ちょっと残念。竜宮城と浦島太郎が物語の中心になってきます。
絵のほうは色とりどりで華やかで、目まぐるしく情景が変わります。海の中なので構図も大胆。人物は、朴訥でありながらも柔らかい感じで、この方ならではのタッチですね。
我が子monmonにはまだ受けがよくありませんでした。人物の表情やストーリーがくみ取れるようになってきたら、また楽しめるのだと思います。

そうべえ ふしぎなりゅうぐうじょう (童心社の絵本)