願掛けのトキジロー
8ビットギャラリー:『願掛けのトキジロー』

私はデジタル絵本に興味をもっています。が、いくつかデジタル絵本を試してみているものの、まだこれという絵本に出会えていません。
最初は、「止まっていた絵たちが絵本の中を動き出す」ということが面白い、と思いましたがそれは大人の一方的な思考かと考え直しました。爆発的な空想力をもつ子供たちにとっては、大した意味はもたないのではないか、と。

少し気が早いけれど、我が家のmonmonに7インチタブレットで、デジタル絵本を見せて眺めてみました。触ると画面が反応するのを知っている彼女は、少しペチペチと触っていたが、流れる絵本にあまり興味はなさそうでした。
元々、紙の絵本では折り畳まれたページを開いたりするものが好きだし、ページもあっちいったりこっち戻ったりするのが日常のmonmon。ストーリーはズンズン進むわ、聞き慣れない声のナレーションだわで、いささかつまらない様子。もっともっと大きくなって、ストーリーが理解できるようになれぱ、デジタル絵本もゆっくり楽しめるのかな。

そして、もう一つ。
タブレットの画面は、硬い。

ふむ。紙にはいろんな触感があります。絵本でも様々。分厚いのもあれば、薄いのもある。ツルツルなのも、ちょっとザラっとしたのも。そんなの読むには関係ないかもしれないけれど、自分だって、同じタイトルの小説をハードカバーで読むか、文庫本で読むかで本の印象が変わります。紙質は本の内容に若干影響を及ぼし得る、と思います。その上、情報だけを吸いとろうとする大人とは違って、子供は敏感にいろんなことを感受しています。
紙にはいろんな硬さや手触りがあるけれど、木材由来のせいなのか、どこか感触が優しい。かたや、タブレット画面のガラスは何か冷たい。きっと子供には指先から来る刺激が物足りないんだな~、と。

デジタル絵本を真に面白いものにするためには、まだテクノロジーが足りない、と思います。触感を自在に制御する。それは新たな五感の一つに訴えられるディスプレイ。未来を切り開くテクノロジーとして、誰かが生み出さまねばならない産物なのではないでしょうか?